研究概要 |
1.画像診断による心筋血流量測定の基礎的検討として、心筋壁の部分容積効果の影響をマイコン(PC9800)を使用し、解析した。部分容積効果には空間分解能,壁厚,および,RCI設定部位が関係し、壁中央にRCIを設定した時、壁厚が空間分解能の2倍以下では補正が必要であることが示され、補正式および補正チァートの作成を行った。また、作成した補正式の妥当性を心臓ファントム(RH-2)により証明した。 2.【^(13)NH_3】静注法を使用したダイナミックポジトロンCTによる局所心筋血流量の測定を行った。使用式は、局所心筋血流量Fm=Cm×100/(Cb×Ρ)ml/min・100gである。ここでCmは【^(13)NH_3】静注の早期で再循環の始まる直前の時相での心筋放射能濃度、Cbはそれまでの動脈血放射能濃度の積分値、Ρは心筋密度である。本装置の半値幅は11mmであるため、前述の部分容積効果の影響を考え、今回は補正を必要としない心筋厚2.2cm以上の肥大型心筋症10例を対象とした。それぞれの例について前壁,中隔,側壁の数個所にROIを設定し局所心筋血流量を測定した。多くの例ではROI設定部位と関係なく血流量は45〜80ml/mm・100gであったが、10例中3例では中隔の心筋血流量が他部より30%以上低下し、本症の症態と関係があることが示唆された。また、3例についてはジピリダモール負荷を行い、局所心筋血流量が1.4〜1.9倍増加することをみた。3X線CT装置GECT/T9800を用いdynamic scanによる心筋内造影剤濃度変化ををみた。心筋硬塞では造影剤濃度は正常より低下し、血流量の低下が示されたが、これを使って局所心筋血流量の絶対値を得るには造影剤注入法,毛細血管から心筋への造影剤の分配係数の決定,時間濃度曲線の値のばらつきの補正等の検討が必要であることがわかった。
|