研究課題/領域番号 |
61570405
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平田 恭信 東京大学, 医学部(病), 助手 (70167609)
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研究分担者 |
石井 當男 横浜市立大学, 医学部, 教授 (90010363)
松岡 博昭 東京大学, 医学部, 講師 (20111544)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 心房性ナトリウム利尿ペプチド / 心房圧 / 尿中ナトリウム排泄 / サイクリックGMP / 分泌 / 血圧 / うっ血性心不全 / 高血圧 |
研究概要 |
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の分泌調節機序およびその作用を実験的ならびに臨床的に検討した(研究(1)〜(8))。(1)ラットに容量および浸透圧負荷をかけると血漿ANP濃度は著増し、同時に心房圧の上昇と尿中Na排泄量の増加を認めた。 (2)麻酔犬の左心房伸展(心房内留置バルーンによる)あるいは右心房の高頻度ペーシングによっても血漿ANP濃度は上昇し、さらに迷走神経切断によってこの上昇は影響されなかった。 (3)同様にヒトの発作性心房頻拍数でも血漿ANP濃度が心房圧と共に上昇すること。 (4)心不全ではその重症度に比例して血漿ANP濃度が高値を示し、この値は左右心房圧と有意に正相関することなどより、ANPは心房の伸展刺激に最も鋭敏に反応して分泌されるが、一部、心房内収縮頻度増加も関与すると考えられた。 (5)心疾患以外にも腎不全をはじめとする浮腫性疾患、種々の高血圧症でも血漿ANP濃度は高値を示した。 (6)腎不全では糸球体濾過値の低下と共に血漿ANP濃度は上昇しはじめ、ANPの血中濃度の測定により腎障害の程度を推測でき得ると考えられた。 (7)これらの患者にANPを注入すると、血圧低下、尿中Na排泄量の増加さらにアルドステロン分泌抑制を認め、ANPには虚血性心疾患患者の冠動脈拡張作用があること、ANPによるNa利尿作用は血圧が高いほど増強されることを明らかにし、これらの疾患にANPを治療薬として応用し得ることを示した。 (8)ANP投与により、血中および尿中cGMP濃度が著明に増加し、cGMPがANPのセカンドメッセンジャーとして機能していることを支持する所見と考えられるが、注入前の血漿cGMP濃度もANPのそれと密接な正の相関関係を有することから、血漿cGMP濃度は内因性ANPの活性をよく反映していると考えられる。以上よりANPは直接的あるいは体液量増加等による間接的な心房伸展刺激により血中に分泌され、血圧・体液量調節に何らかの役割を果していると考えられる。
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