研究課題/領域番号 |
61570414
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
葛谷 恒彦 阪大, 医学部, 助手 (80150340)
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研究分担者 |
星田 四朗 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80238732)
門馬 正明 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
多田 道彦 大阪大学, 医学部, 教授 (90093434)
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キーワード | 心筋梗塞 / アラキドン酸カスケード / トロンホキサン【A_2】 / ヒドロキシ酸 / 微小循環障害 / 白血球機能 / 抗炎症剤 |
研究概要 |
炎症反応の一環として虚血心筋に浸潤する白血球が心筋壊死の病態進行を増幅し、心筋梗塞の拡大に寄与し得ると考えられている。実際、虚血心筋への白血球の動員・浸潤を抑制する事によって、心筋梗塞の進展防止が可能であることが実験的に示されている。この際、白血球由来アラキドン酸代謝物質〔ロイコトリエン,ヒドロキシ酸(HETE)〕が微小循環障害の進展因子として介在する可能性が示唆されている。本研究では、心筋梗塞発症早期における虚血心筋でのアラキドン酸代謝物質(アイコサノイド)がどのように変動するかを実験的に追求し、冠微小循環系において、白血球・血小板の相互間で如何なる病態代謝を構成するかを考察した。その結果、実験的心筋梗塞(大冠動脈閉塞一再灌流モデル)において、虚血心筋にはアラキドン酸代謝物質の産生亢進を認め、特に12-HETE、5-HETE、トロンホキサン【B_2】(TX【B_2】)は正常心筋に比して顕著に増大した。アラキドン酸代謝亢進は、二重染色法(Evans Blue,TTC)より判定した心筋障害の進展度や虚血心筋への白血球の浸潤度と有意な正相関を示した。流血中の白血球に関しても、虚血作成後、白血球数の増大やカルシウムイオノフア【A_(23187)】に対する白血球凝集能の亢進を認めた。これらの実験事実は、アラキドン酸代謝物質の産生亢進を伴った白血球の活性化が、虚血性心筋障害の進展と密接に関連する事を示唆すると考えられる。12-ないし5-リポキシゲナーゼ代謝物質は白血球遊走・血管収縮作用を、TX【B_2】は血小板凝集亢進・血管収縮作用を各々有しており、これらの生理活性物質がかかる病態進展のメディエーターとして関与していることが示唆された。今後、抗炎症剤であるリボキシゲナーゼ阻害剤或いはトロンボキサン【A_2】阻害剤による心筋梗塞量の縮小効果への基礎的検討を行う必要がある。
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