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1986 年度 実績報告書

血管内皮プロテオヘパラン硫酸の単離とその抗体作製

研究課題

研究課題/領域番号 61570420
研究機関高知医科大学

研究代表者

島田 和幸  高知医大, 医学部, 講師 (90145128)

研究分担者 松林 公蔵  高知医科大学, 医学部, 助手 (70190494)
キーワード血管内皮細胞 / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / β-D-キシロシド / n-酪酸 / アンチトロンビン【III】 / 抗凝固性
研究概要

血管内皮細胞ヘパラン硫酸プロテオグリカンの分離精製および構造解析の為に使用する高速液体クロマトグラフィー装置を購入した。培養豚血管内皮細胞の産生するプロテオヘパラン硫酸を単離する研究の過程で、血管内皮細胞のグリコサミノグリカン代謝をβ-D-キシロシドおよびn-酪酸で変化させることにより、血管内皮細胞のヘパラン硫酸が量的および質的に(特にアンチトロンビン【III】との親和性が)変化することを見出した。すなわち、内皮細胞を4メチルウンベリフェリルβ-D-キシロシドで処置すると、アンチトロンビン【III】最大結合能が約60%減少した。しかし、結合親和性には変化がなかった。キシロシドの濃度を変えると、【^3H】グルコサミン及び【^(35)S】硫酸の血管内皮細胞表面ヘパラン硫酸へのとりこみが濃度依存的に減少し、それと並行してアンチトロンビン【III】の血管内皮細胞表面への結合が抑制された。細胞表面のヘパラン硫酸は、キシロシド処置によりその分子量や電荷密度に変化を生じなかった。一方、培養液中には大量の遊離コンドロイチン硫酸(およびデルマタン硫酸)が放出された。これらの成積は、キシロシドが内皮細胞でのプロテオグリカン合成を阻害する結果、内皮細胞表面ヘパラン硫酸を減少せしめ、アンチトロンビン【III】の結合を抑制したものと解釈される。逆に、グリコサミノグリカン代謝過程の脱アセチル化を阻害するn-酪酸で内皮細胞を処置すると、アンチトロンビン【III】の結合は対照に比し増大した。この時、内皮細胞表面ヘパラン硫酸分子のサイズには変化がなかったが、陰性荷電の減少が認められた。これらの結果は、n-酪酸で処置された内皮細胞表面のヘパラン硫酸が質的に変化し、アンチトロンビン【III】に対する親和性が増大したものと推定される。この様に本物質のレベルで内皮細胞の抗血栓機序が調節される可能性が示された。これらの結果より、本物質の単離解析法につき重要な示唆が与えられた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 島田和幸,小沢利男: 血液と脈管. 17. 577-580 (1986)

  • [文献書誌] K.Shimada;T.Ozawa: Acta Haematologica Japonica. 49. 140-145 (1986)

  • [文献書誌] 島田和幸,三森康世,他: 動脈硬化. 14. 321-324 (1986)

  • [文献書誌] 島田和幸: 臨床血液. (1987)

  • [文献書誌] 島田和幸: 動脈硬化. (1987)

  • [文献書誌] K.Shimada;T.Ozawa: Arteriosclerosis.

  • [文献書誌] 田中健蔵,原澤道美 編 島田和幸,小沢利男: "細胞増殖と動脈硬化" 共立出版, 171 (1986)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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