研究概要 |
心筋収縮力と心筋生化学の変化を各動物モデルで検討し、以下のような結果を得た。 1.腹部大動脈狭窄ラット(12週令Wistar ratに手術施行、5〜6週間の負荷)・・・非狭窄コントロールに比べて、左室重量は約14%増加、摘出左室乳頭筋の等尺性発生張力T、静止張力は両群間に有意差は認められず、dT/dtmax,Time to peak tension(TPT)は、それぞれ、低下,延長傾向を認めた。イソプロテレノールに対するT.dt/dtmaxの反応牲も低下傾向を示した。左室心筋ミオシンアイソザイムは、狭窄群で有意にVM-3への移行を認めた。 2.腹部大動脈狭窄ラット(10週令Wistar ratに手術施行、24〜26週間の負荷)・・・コントロールに比べて、左室重量は約48%増加、摘出左室乳頭筋の発生張力Tには有意差なく、静止張力は増加傾向、dT/dtmaxは有意に低下、TPTは有意に延長。イソプロテレノール、及び、dibutyrylcyclic AMP(DBcAMP)に対するT、dT/dtmaxの反応性も狭窄群で有意に低下、左室心筋ミオシンアイソザイムは、狭窄群で有意にVM-3の増加を認めた。 3.腹部大動脈・下大静脈シャントラット(10週令Wistar ratに手術施行、10週間負荷)・・・コントロールに比べて左室重量は約43%増加、右室重量は約120%増加。摘出左室乳頭筋の発生張力Tは低下傾向を示し、静止張力は有意に上昇、dT/dtmaxは有意に低下、TPTは有意に延長した。イソプロテレノール,DBcAMPに対するT、dT/dtmaxの反応性は、シャント群で低下傾向を示した。左室心筋ミオシンアイソザイムは、シャント群で有意にVM-3の増加を認めた。
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