研究概要 |
I)胸腺摘出後のマクロファージの機能と形態学的変化について(a)モルモットより胸腺を摘出し, 3ヶ月後の肺胞マクロファージについて形態的及び活性酸素分泌能について検討を加えた. 結果, 胸腺摘出モルモットのマクロファージはコントロールのマクロファージに比べて, 分化能が発達している所見がみられた. すなわち偽足形成が盛んであり, 胞体面積は有意に大きかった(b)機能面での相違を観察する為に活性酸素分泌能について検討した. NBT色素還元能にて測定した. 胸腺摘出モルモットのマクロファージは顕鏡下において濃染する物が多く, 活性酸素分泌能の亢進が示唆された. 昨年度に行なった胸腺摘出モルモットの血清T-choの上昇, HDL-choの低下の結果と考え胸腺はマクロファージ活性抑制物質を分泌して抗動脈硬化的に作用していることが示唆された. II)胸腺より血小板凝集能抑制物質の精製. 人胸腺よりC-AMPを上昇させる事に依り血小板凝集能を抑制する物質が存在する事が知られている. そこで, モルモット胸腺培養液より血小板凝集能抑制物質の精製を試みたが, 活性物質は得られなかった. 今後の課題である. III)酸化LDLの作成とマクロファージ泡沫化促進作用の検討. 酸化LDLはマクロファージの泡沫化促進作用を有するのでこれを指標に胸腺より分泌されるマクロファージの泡沫化抑制物質の活性を測定している. 物理化学的性質の同定のための準備として現在, 胸腺ファクターをsephadex-G100カラム, SDS-PAGE分析を行い, 活性部分の抽出を行っている. 58KDと37KDにLPL分泌を抑制する事より, 次にこの活性物質の遺伝子構造を明らかにするための準備として, まずマクロファージ由来増殖因子(MDGF)の遺伝子発現について, Nuclear run off transcription法をもちいて検討をおこなった. この事より, 少ない細胞数6×10^6にてm-RNAの同定が可能にまでなった.
|