研究分担者 |
難波 正義 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (80069004)
三戸 恵一郎 川崎医療短期大学, 助教授 (40078027)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10152365)
松村 幹郎 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70052975)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70029114)
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研究概要 |
心筋収縮の基本単位は心筋細胞内のくり返し構造物であるサルコメアであるから, 心筋収縮のメカニズムの解明, ミクロなレベルにおける心機能の評価, 種々の心疾患の終末像である心不全の原因解明には, 心筋サルコメア動態の直接的解析が必要である. 心筋サルコメア長の計測方法には顕微鏡画像からの画像処理による方法, フェーズドロック法などがあるが, レーザ回析法が分解能, 応答速度, 連続計測などの点で優れている. 本研究では, レーザ解析法により心筋線維あるいは単離心筋細胞のサルコメア長を非破壊的連続的に高精度で計測するシステムを開発し, 最終的にヒト心筋サルコメア動態を解析することを目的とした. 顕微鏡を利用し, He-Neレーザ(出力5mW, 波長623nm)を心筋線維あるいは心筋細胞に照射し, サルコメアにより生じた回析光を水浸型対物レンズで集め, 適当なレンズでフォトダイオドアレイ(レチコン)上に結像させる光学系を構築した. フォトダイオードアレイからのビデオシグナルを信号処理し, 0次と1次の回析縞の間隔(D)からサルコメア長をλf/D(λ:レーザ光の波長, f:定数)として計算する回路を製作したが実際には, さらに3項の補正項を付加して精度を向上させた. ラットの単離心筋線維を用い, 開発したシステムでサルコメア動態を解析した結果, サルコメア長は心筋線維長の動態とは必ずしも一致せず, サルコメア長の直接計測が必要であることが示された. 両者の解離は, 障害端のコンプライアンスに由来するものと考えられる. ラット摘出心を酵素を含む液で灌流することにより, 収縮性を保持した細胞を得ることができ, この単離心筋細胞のサルコメア長も, レーザ回析法により連続的計測が可能であった.
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