研究概要 |
小児白血病/リンパ腫におけるインターリウキン2(1L-2)の治療的応用を目的として、下記の研究を行った。 1.小児白血病/リンパ腫におけるリンホカイン活性化キラー(LAK)細胞の動態を解析した。LAK細胞の誘導にはリコンビナント1L-2(γ1L-2)を用い、標的細胞にはRaji細胞または自己腫瘍細胞を用いた。LAK活性は、診断時と再発時には著減していた。寛解期にはかなり回復したが、正常化はみられなかった。 2.LAK細胞の効果的な誘導法確立のため、リンパ球採取法,γ1L-2添加量,培養期間などにつき検討を加えた。LAK細胞の誘導にはヘパリン採血がよく、ACD液採血は不適切であった。またγ1L-2の量は200単位/ml、培養期間は5日間が最も効果的であった。したがって、この条件下でLAK細胞を誘導し、治療的に応用した。 3.LAK細胞の養子移入とγ1L-2点滴静注による免疫療法を行ない、その安全性を確認するとともに治療効果を評価した。 (1).まず細網症を伴うEBウイルスの致死的感染症,先天性免疫不全症などにおいて本治療法の臨床的評価を試みた。いずれの疾患においても重篤な副作用はみられず、臨床症状の改善が得られた。 (2).この経験をもとに、化学療法不応性となった急性白血病例に本治療を行った。誘導されたLAK細胞は、in vitroにおいて自己腫瘍細胞に対し細胞障害活性を示し、本治療の有効性が示唆された。治療後にLAK活性は著明に上昇し、血液免疫学的改善がみられたが、その効果は一時的であった。現在、治療効果をさらに高めるために種々検討中であるが、その中で治療を施行するのに最適な病期の決定は重要と思われ、小児白血病/リンパ腫の寛解中に養子移入免疫療法を計画している。
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