研究課題/領域番号 |
61570455
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清野 佳紀 阪大, 医学部, 講師 (80028620)
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研究分担者 |
島 雅昭 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
田中 弘之 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
黒瀬 裕史 大阪大学, 医学部, 助手
石田 允 大阪大学, 医学部, 講師 (50112032)
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キーワード | 1α-ハイドロキシラーゼ / ビタミンD / ビタミンD受容体 |
研究概要 |
活性型ビタミンDである1.25【(OH)_2】【D_3】のレセプターは、ヒトや実験動物においてほとんどすべての組織に存在することが知られているが、従来ヒトにおける検討には主として皮膚線維芽細胞が用いられてきたため、対象疾患が限られていた。そこで私達は検体採取及び処理が比較的容易な末梢血単核球を用いて、腎疾患を中心とした各種病態下におけるレセプター濃度について検討を加えた。対象は、慢性腎不全6例、慢性腎炎3例、ネフローゼ症候群3例、SLE3例、骨形成不全症2例、Fanconi症候群1例、未熟児1例の計19例及び健常成人10例であった。ヘパリン加血より比重遠心法にて分離した単核球を10%FCSを加えたRPMI1640培養液に浮遊させ、PHA10μg/mlを加えて3日間培養した後、0.3MKCl-phosph ate Dufferにて細胞質分画を注出し、従来報告した方法にて蛋白当りのレセプター濃度を測定した。健常成人10人における細胞質レセプター濃度は61.5±14.9fmol/mg蛋白であった。慢性腎不全患者のうち、ビタミンD製剤を投与していない5例は正常〜高値を、長期投与している1例では低値を示した。慢性腎炎では3例とも正常であった。ネフローゼ患者は3例ともステロイド剤を投与しており、その内2例はビタミンD製剤も投与しているが3例とも正常であった。SLE患者の内、ステロイド剤とビタミンD製剤を投与している1例はやや低値を、未治療の1例は高値を示した。骨形成不全症患児は2例とも経鼻的にカルシトニンを投与しているが、1例が高値を、もう1例は正常値を示した。ビタミンD製剤を投与しているFanconi症候群患児ではやや低値を示した。未熟児では正常範囲内であった。以上の結果より、1.25【(OH)_2】【D_3】のレセプター濃度はビタミンD代謝の障害により増加し、その補充により正常化ないしは減少する可能性が示唆された。
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