研究概要 |
1.小児を対象に、部分発作ならびに欠神発作に対するclonazepam(CZP)単剤投与の効果を、脳波所見におよぼす影響とともに、血中濃度面と合わせて検討した。CZPの推持量は0.1mg/kg/dagを基準とし、35〜65ng/mlの血中濃度が得られたが、この範囲内では有効例と無効例,発作増強例ならびに副作用出現例で、血中濃度に差を認めなかった。 2.小児を対象に、CZP単剤投与例を中心に、一部の症例について総血中濃度と同時に遊離型血中濃度を測定し、CZPの蛋白結合比率を検討した。総血中濃度に対する遊離型CZP血中濃度の比率は約10%で、蛋白結合に関し、carbamazepino(CBZ)あるいはsodium valproate(VPA)との相互作用は認められなかった。 3.今後CZPの主要代謝産物である7-amonoCZPの血中濃度を測定し、CZPの体内動態を一層明確にしたい。 4.CBZにVPAを併用すると、CBZの血中濃度は変わらないが、その主要代謝産物carbamazepine-10,11-epoxide(CBZ-E)血中濃度が有意に高値を示し、CBZ-E濃度が4μg/ml以上になると、眠気などの副作用が生じることを明らかにした。この間の機序は現時点では不明であるが、これはCBZとphenytoinまたはphenobarbeitalとの間の相互作用とは明らかに異なる。 5.CBZを単剤で投与している症例において、CBZならびにCBZ-Eの総血中濃度と遊離型血中濃度を同時に測定し、両者の蛋白結合比率を検討した。CBZならびにCBZ-Eの蛋白結合比率はそれぞれ80%ならびに60%前後で、総血中CBZ-E/CBZ濃度比,遊離型血中CBZ-E/CBZ濃度比は、いずれも年少な者ほど高値を示す傾向にあった。 6.さらに、他剤併用時のCBZとCBZ-Eの蛋白結合比率を求め、蛋白結合に関する相互作用についても検討したい。
|