研究概要 |
1筋生検試料中に含まれるチトクロムオキシダーゼの4次微分スペクトル法による定量法の確立 坂口らによって報告されたチトクロムP450の定量法と原理的に同一である。微量の骨格筋試料(10mg)の60倍ホモジネートを10,000rpmで5分間遠心し、得られた沈澱をグリセロール緩衝液で懸濁し、測定に用いた。試料(還元型)と対照(酸化型)の差スペクトルとその4次微分スペクトルは日立557自動分光光度計を用い測定した。チトクロム濃度は既知濃度の標準試料を外部より加え、チトクロムオキシダーゼに特徴的な微分シグナル強度の外挿より求めた。本定量法の最大の問題点は、測定値をmg湿重量あたりで表示するため、微量の筋肉試料に混入する血液の影響が無視しえないことである。現在、同一個体より得られた、異なる重量の筋肉試料について、測定値の相関を検討中である。 2対照乳児及びnear-miss SIDS児の骨格筋チトクロムオキシダーゼ(cytochrome C oxidase)測定値症例1(対照)autopsy時、大腿四頭筋より採取した数グラム大の筋試料より、各10mg大の計8個の試料を求め、そのチトクロムオキシダーゼを測定した。そのmean±SEは3.33±0.25pmol/mg湿重量で、2.90〜4.34pmol/mg湿重量に変動した。 症例2(near-miss SIDS)大腿四頭筋より針生検によって、11mg及び10.3mgの2個の筋試料を採取した。それぞれの測定値は、2.28pmol/mg湿重量,1.88pmol/mg湿重量、mean±SE、2.08pmol/mg湿重量であった。対照とnear-miss SIDSの間に有意差が存在するか否か、今後更に症例数を増し、検討する予定である。
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