研究課題/領域番号 |
61570476
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
崎山 武志 日大, 医学部, 講師 (20130510)
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研究分担者 |
渡辺 千晶 日本大学, 医学部, 助手
赤塚 章 日本大学, 医学部, 助手 (60183133)
大和田 操 日本大学, 医学部, 講師 (40059506)
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キーワード | 遺伝性蓄積症 / ニーマンピック病 / ニーマンピックマウス / 酸性スフィンゴミエリネース |
研究概要 |
神経症状を示すヒトの蓄積症の生化学的、組織学的な詳細な検討とその発現機構についての研究は制約が大きい。ニーマンピック病の神経症状発現の研究も、同一条件下で同一疾患の再検討を行うのは困難である。しかしニーマンピック病のモデルマウスを用いることで、その成因を探ることが可能である。従来このマウスは、発症時期と残存酵素活性から、ヒトニーマンピック病C型に該当すると考えていた。しかし今回、肝および脳のライソゾーム画分での酸性sphingomyelinose(SMase)の著明な活性低下から、むしろA型の遅発型の可能性が強い。従来ニーマンピックマウスの全脳を用いた酸性SMase活性および蓄積脂質分析の結果では、正常対照との差は顕著でなく、その神経症状の発現の機構は不明であった。細胞分画法を用いた脳の細分画画分のSMase,その他の酸性水解酵素および蓄積脂質を測定したところ、脳のミトコンドリア・ライソゾーム分画での酸性SMaseが著しく低下し、SMaseや他の酸性水解酵素活性がニーマンピックマウスのmyeline membrane fragmentで高く、同時に蓄積脂質の増加を認めた。しかし他の酸性水解酵素とSMase活性との比でみると、ニーマンピックマウスのSMase活性は著明に低下していた。また肝のミトコンドリア・ライソゾーム分画,脳のミトコンドリア・ライソゾーム分画の電顕像で、膨張・変形したミトコンドリアおよびライソゾームとmembrane cytoplasmic bodyを認めた。これらの結果は、本症では膜の保持や形態維持が損われて膜が脆弱となり、容易に壊されてライソゾームに蓄積した脂質や酵素が逸脱したために生じている可能性が強く、脳におけるミトコンドリア・ライソゾーム分画での酸性SMase活性低下が神経症状の発現にも強く関係していることが示唆された。
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