研究課題/領域番号 |
61570479
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
白幡 聡 産業医科大学, 医学部・小児科学, 助教授 (10081712)
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研究分担者 |
有吉 宣明 産業医科大学, 医学部・小児科学, 助手 (40184296)
中村 外士雄 産業医科大学, 医学部・小児科学, 助手 (80140903)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 新生児 / 未熟児 / 頭蓋内出血 / 汎発性血管内血液凝固症(DIC) / 第XIII因子 / アンチトロンビンIII / メシル酸ガベキサート / ビタミンK |
研究概要 |
1)当院NICVに収容された新生児のうち、非傷傷性と推定される頭蓋内出血を発症した65症例を対象として詳細な血液凝固検査を実施し、血液凝固系の異常が新生児の非外傷頭蓋内出血に、どの程度、いかなる形で関与しているかを検討した。その結果、汎発性血管内血液凝固症(PIC)が20例、ビタミンK欠乏性出血症が11例認められた。対象例の死亡率は、DIC確診例が93%、DIC疑診例が83%、ビタミンK欠乏性出血症が45%であり、血液凝固系に明らかな異常所見が認められなかった症例の死亡率26%と比べて著しく不良であった。すなわち、血液凝固系の異常は少くとも頭蓋内出血の大きな増悪因子であると考えられた(昭和61年度)。 2)そこで、新生児DICとビタミンK欠乏性出血症の治療について検討を加えた。まずDICについては、我々がすでに発表している診断基準を一部改訂して簡便化し、Xシル酸ガベキサート(FOY)とヘパリンの有用性を比較した。その結果、血液凝固学的異常の改善には両者は同等の効果を示したが、臓器症状の改善はFOYの方がすぐれていた(昭和62年度)。さらにFOYで十分な効果が得られない症例にはアンチトロンビンIII濃縮製剤の併用が有効であることを明らかにした(昭和63年度)。 3)ビタミンKは血液凝固阻止因子の産生にも関与する。そこでビタミンと投与に対する血液凝固因子と凝固阻止因子の反応態度を検討し、凝固系の変化が先行することを明らかにした。 4)未熟児脳室内出血に対する第XIII因子濃縮製剤の予防効果を検討した。その結果、頭蓋内出血をきたし易い群(ハイリスク群)においては第XIII因子濃縮製剤の投与により頭蓋内出血の頻度が有意に減少した。とくに重症頭蓋内出血の減少が著しかった。
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