研究課題/領域番号 |
61570481
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
熊切 正信 北海道大学, 医学部, 助教授 (60125309)
|
研究分担者 |
月永 一郎 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70159036)
金子 史男 福島県立医科大学, 教授 (50001920)
|
キーワード | アニオニック・サイト / 血管炎 / 基底膜 / アナフィラクトイド紫斑 / 尋常性幹〓 |
研究概要 |
前年度までの研究で、シューラーらによって開発されたポリエチレン・イミン法を皮膚組織へ適用し、電顕レベルでの陰性荷電部位(アニオニック・サイト)の抽出力に優れていることを確認した。また、ウランを使ってブロック染色を施すことで、切片は無染色でも反応物は観察でき、しかも、より鮮明に組織内での分布を知ることができることを発見した。最終年度である今回は、血管炎の代表的皮膚疾患であるアナフィラクトイド紫斑の電顕標本の作成、観察の結果、血管内皮細胞の破壊によると考えられる細胞残渣が血管壁に認められた。一方、血管壁の基底膜は多層化し、アニオニック・サイトが基底膜に沿って検出された。しかし、最内層の基底膜は欠損する部分があり、アニオニック・サイトも欠落する部分があった。しかし、この部でも部分的に少量の基底膜様物質の生成があり、アニオニック・サイトが少数認められた。これらの所見は内皮細胞の破壊と再生を反映していると推測された。一方、血管炎を通常はおこさない炎症性疾患の代表として、尋常性幹癬をコントロールのひとつに取り上げ検討したところ3つ血管壁にアニオニック・サイトが瀰浸性に太く帯状に検出された。なお基底膜の新生部位を観察する目的で、自家培養表皮の表皮移植の検討を行ったところ、基底膜の新たに形成される部位でもアニオニック・サイトが少数認められた。 以上、血管炎の代表であるアナフィラクトイド紫斑では血管障害のある部での基底膜の多層化が観察されたが、それは血管内皮細胞の障害と再生の反映であり、アニオニック・サイトも基底膜とともに形成されていた。しかし、血管内皮細胞の機能的な透過性亢進が血管病変の主体であり、血管炎をともなわない炎症疾患の尋常性幹癬では血管内皮の障害は少なく、血漿成分によると考えられるアニオニック・サイトが検出された。
|