研究概要 |
1 既存の走化因子を用いて新らしい好中球化学走化性試験法を確立した. すなわちModified Boyden chamberを作製し, それをそのまま化学発光測定機でchemotaxisに際して生ずる活性酸素を測定した. 今迄好中球が遊走する際には酸素代謝が起こらないと考えられていたが, 実際にはスーパー・オキサイドがこの過程で産正されることを世界ではじめて明らかにした. 2 水疱内容の解析は天疱瘡, 中毒性表皮壊死症, 熱像について行なった. 天疱瘡ではCSaが存在し, 好中球を刺激しうること, 熱傷水疱中にも多量のCSaの存在することがわかった. 一方中毒性表皮壊死症の水疱内容には好中球の酸素代謝をひき起すメディエーターのないことが示唆されたが, これは水疱採取時に加えるEDTAの影響による可能性が考えられる. 今後EDTAを加えないもので検討が必要である. 3 乾癬の鱗屑による好中球の反応をコントロール実験として行なった. その結果, 鱗屑抽出液の中で分子量1万2千のchemotactic・peptideの画分に強い酸素代謝誘導が認められた. 一方, ビタミンB12マーカー近辺の低分子画分には好中球の酸素代謝を抑制する因子のあることが明らかとなった. また, 掌蹠膿疱症, 膿疱性乾癬の鱗屑中には乾癬にみられるような抑制物質が存在しない可能性が示唆された. 膿疱発生機序の解明の糸口になるかもしれない. 4 ここ2-3年水疱症, 特に免疫の関与するものが減少傾向にあり, 実験材料を得るのが困難となってきているが, 症例を待って解析を継続してゆく予定である. また併せて平行して膿疱性疾患の解析を行ってゆきたい.
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