研究概要 |
1.Boyden chamberを使っての化学発光の測定から、好中球走化性因子は酸素代謝をおこしながら遊走するもの(FMLP、C5aなど)とこれとは無関係に遊走させるもの(モノサイト由来の因子、IL-3など)の2種類に分けられることを明らかにした。 2.濃疱性疾患の1つである乾癖の皮疹鱗屑抽出液中に好中球の活性酸素産生する因子のあることを明らかにした。 3.大疱症・類大疱症、熱傷の水疱内容をフラクションに分けて検討したところ乾癖鱗屑同様cytochrome C markerに一致するchemctactic peptideに高い化学発光が認められた。しかしこれらの発光量と水疱内C5aレベルは相関しなかった。このことから、このフラクションにはC5a以外の因子の存在が示唆された。 3.1例の角層下膿疱症の濃疱内容においては今迄見つかったchemotactic peptideないしはLTB_4とは異なる別の因子が存在することを明らかにした。 4.水疱症の解析症例がいまだ少なくて、結論は出せないものの、水疱症においても乾癖と同様分子量12,000〜18,000のchemctactic peptideが病態に重要な因子として作用する可能性が示唆された。このフラクションにはC5aが含まれることは間違いないことであり、病変形成の上でC5aが重要な役を演じているものと思われるが、さらにこれ以外の因子の関与も考えられる。IL-6などをはじめとするいくつかのサイトカインは分子量的にはこのフラクションに入るものであり、これらのサイトカインの役割が今後のポイントになるものと思われる。
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