研究課題/領域番号 |
61570486
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
斎田 俊明 信州大学, 医学部, 助教授 (10010381)
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研究分担者 |
石原 八州司 信州大学, 医学部付属病院, 医員
河内 繁雄 信州大学, 医学部, 助手 (20143969)
池川 修一 信州大学, 医学部, 助手 (60184412)
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キーワード | 悪性黒色腫 / 糖鎖抗原 / Hanganutziu-Deicher抗原 / ガングリオシド / 免疫組織化学 / 足底悪性黒色腫早期病変 / 臨床指針 / 診断基準 |
研究概要 |
昨年度にひき続き、ヒト悪性黒色腫の糖鎖抗原についての研究をすすめるとともに、足底悪性黒色腫の早期診断に役立つ臨床指針と診断基準の確立をめざして研究を行った。1.ヒト悪性黒色腫におけるHanganutziu-Deicher (HD) 抗原の検索:HD抗原はヒトの正常組織には存在しないシアル酸であるN-glycolylneuraminic acidを抗原決定基とする抗原で、ヒトに対し免疫原性を有する重要な糖鎖抗原である。われわれは、昨年までの研究でヒト悪性黒色腫培養細胞株にHD抗原の発現がみられることを明らかにした。本年度は悪性黒色腫のガングリオシド分画にHD抗原が検出されるか否かを検討した。悪性黒色腫の新鮮凍結組織よりガングリオシド分画を抽出、分離し、これを薄層クロマトグラフィー上に展開し、抗HD抗体を用いた免疫染色法には検索した。その結果、5検体全例において泳動上HD_5とHD_7にほぼ一致する陽性物質が検出された。また、パラフィン包埋組織切片について、抗HD_3抗体を用いて免疫組織化学的に検討したところ、5検体中3検体においてHD抗原陽性の悪性黒色腫細胞を検出することができた。 2.足底悪性黒色腫早期病変についての検索:足底は本邦人の悪性黒色腫の最好発部位である。われわれは、足底悪性黒色腫原発巣の色素斑部が早期病変の病理組織学的モデルになりうるとの考え方に立って、検討を加え、その結果に基づいて足底悪性黒色腫の早期病変を10症例同定することができた。そして、これらの症例を詳しく検討して、早期病変の臨床的、病理組織学的特徴を明確に提示した。また、足底の色素性病変を多数検討し、皮疹の最大径と患者の年齢をもとに足底悪性黒色腫早期病変を検出するための臨床指針を具体的に提示した。また、足底悪性黒色腫早期病変の病理組織学的診断基準(案)を作成して、報告した。今後、これらの指針と診断基準の有用性について詳しく検討する予定である。
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