研究概要 |
(1)色素細胞の超微構造:核はユークロマチンに富み発達した核小体を有する。細胞室内には、種々の発達段階のmelanosome(MS)を多数産生し、MSの内部には,格子状構造を有する(正常表皮色素細胞と同様のeumelanin type)。 (2)Cキナーゼの阻害剤、H7の色素細胞の増殖抑制及びチロシナーゼ活性への影響:H7は(20μM、50μMで)色素細胞の^3H-TdRの取り込みを、それぞれ65%、85%抑制した。これらH7の抑制効果は、choleratoxinにより約50%回復した。色素細胞の形態に変化を認めなかった。H7はチロシナーゼ活性には、有意な抑制効果を示さなかった。 (3)OAG(Olenyl-2-acetyl-glycerol)の影響:20μg/mlOAGの添加86時間後、ほとんどの色素細胞が死滅した。このOAGの作用は、20μMのH7の添加により阻止された(堀越他Skin Cancer 1989印刷中)。Cキナーゼの活性化(OAG添加)が、色素細胞の増殖を抑制することが示唆された。 (4)リン酸化蛋白の同定:TPA除去、あるいはOAG添加により28kdの蛋白にリン酸化の減弱を認めた。色素細胞が経時的にTPAによる刺激されているので、TPAによるリン酸化蛋白の異同を検索することは、困難であった。この点を解決するにはb-FGF choleratoxinの存在下で色素細胞を維持し、この状態でTPAのリン酸化蛋白の同定を試みるよう改善が必要と考えられた。 (5)色素細胞内にCキナーゼの活性化測定:アッセイに必要な細胞数を用意することは現在不可能であり、Cキナーゼの活性化を測定するこ新しい方法の確立が待たれる。
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