近交系BALB/Cマウスの皮膚より調整した角化細胞およびBALB/c角化細胞由来の腫瘍株であるPAM212をin vitroでマウス組み換えγ-IFNと反応させ、その細胞膜へのMHCクラス【II】抗原の発現を蛍光染色しEPICSにて測定する実験を施行したが、数ケ月に亘る検討にもかかわらずMHCクラス【II】抗原の明らかな発現を誘導することが出来なかった。しかしながらこの研究の過程でPAM212細胞の細胞膜への尋常性天疱瘡(PV)抗原や水疱性類天疱瘡(BP)抗原の発現がγ-IFNにより増強することを発見した。PV抗原やBP抗原の発現に及ぼす倍地のCa濃度の検討により、γ-IFNによるPV抗原やBP抗原の発現の増強は培地のCa濃度依存性であることが明らかにされた。こうした実験成績にヒントを得てγ-IFNによるMHCクラス【II】抗原の誘導に及ぼす培地のCa濃度を検討したところ、この場合も同様に培地のCa濃度依存性であることが明らかにされ、ある条件のもとでMHCクラス【II】抗原の発現を誘導することが出来た。以上の成績に加えてこれら培養細胞のviabi-lityと蛍光染色性との関係などの基礎的解析を行い、今後の研究発展に不可欠な基礎を確立することが出来た。
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