研究概要 |
1.放射線照射による担癌体の免疫能の変化の解析: (1)血中腫瘍マーカーの測定:扁平上皮癌関連抗原(SCC)は, 子宮頸癌のみでなく, 食道癌, 肺扁平上皮癌, 頭頸部癌においても陽性率が高く, 広く扁平上皮癌の腫瘍マーカーとして高いこと, またSCCは血中半減期が数時間と短いことから治療効果判定の際に, 従来の腫瘍マーカーに比して実用性が高いことを癌治療学会誌22(9)に論文として発表した. (2)免疫賦活剤の至適投与方法に関する研究:乱用されすぎているきらいのある免疫賦活剤(PS-K)の放射線治療患者に対する至適投与方法について臨床的ならびに実験的に検討した. 免疫担当組織の形態学的変化を指標にすると, 間歇投与にて充分な効果が得られることが実験的に証明しえたばかりか, 臨床的にも確認しえた. 臨床的検討結果については, 日本癌治療学会誌22(1)に発表した. (3)肺転移形成に及ぼす照射の影響:被照射肺への腫瘍転移の成立機序を解明すべく, Lewis lung tumorをマウス尾静脈より静注し, 直後の腫瘍塞栓の形成能で比較した. 健側肺に比して, 20Gy被照射肺では腫瘍塞栓の率が高かった. 照射の腫瘍母地への影響が関与しているものと考えられた. 2.放射線照射による腫瘍抗原の局在の変動と血中への遊離機構の解析 (1)腫瘍抗原の局在の検討:抗CEAと抗CA19-9とが等量混合された^<131>I標識モノクローナル抗体であるIMACIS-]を用いて, 免疫シンチグラフィーならびに生体内分布の検討を行った. 人肺癌(ヌードマウス)には腫瘍壊死部に高度の集積が認められ, 酵素抗体法によるCEAの局在とよく一致した. (2)immnnoscintigraphyの臨床応用:IMACIS-]を用いて, 数施設による臨床治験を行い, 86症例(膵臓癌23, 胃癌16, 結腸直腸癌15, 肺癌14)の陽性率は77%であり, 腫瘍体積と良く相関した.
|