研究概要 |
1.ラット1側腎動脈狭窄術施行後の血管新生促進因子修飾薬剤の評価を行なうために、薬理作用の異なる降圧剤であるヒドララジン(HLZ)、カプトプリル(Capto)を毎日腹腔内投与し、1,3,6週間後に動脈圧を測定した後、【^(131)I】マイクロスフェアを左心内に注入して、1分間の動脈血サンプリングを行なうことにより、絶対心拍出率および絶対腎血流量を測定した。また、前記と同様の実験系において、腎動脈狭窄のための銀クリップを測定直前に押しつぶすことにより腎動脈血流を完全に遮断して、側副血管を流れる絶対側副血流量の算定も行なった。その結果、狭窄後6週間では対照群Capto、およびHLZ投与群における心拍出量はそれぞれ2.46±10.7、311±10.7、300±15.8(ml/kg/min)であり、後2者ともに有意に上昇していた(P<0.01)。しかし絶対腎側副血流は6週間後、対照、Captoでそれぞれ0.316±0.0471、0.179±0.0490と非投与の対照群の方が有意の増加を示した。しかし血圧はそれぞれ184±7.83、139±8.33(mmHg)と後者が有意に低く、側副血行路の形成には血圧という物理学的因子の相互関与の可能性が示唆された。 2.虚血腎灌流リンパ液タンパク分離、分取を行なうために同様の虚血腎を得た後、横隔膜直下にて胸管にカテーテルを挿入し、メタボリックケージに固定して、リンパ液および尿を3日間連続して収集した。得られたリンパ液を垂直スラブゲル電気泳動装置を用いてタンパク質の分離分画を行なっているが、得られるタンパク分画の描出が目下一定せず、同様の分離・分画をゲル濾過法を並行して、現在同定中である。
|