研究課題/領域番号 |
61570509
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
遠藤 啓吾 京大, 医学部, 講師 (10115800)
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研究分担者 |
小西 淳二 京都大学, 医学部, 助教授 (70026970)
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キーワード | モノクローナル抗体 / 抗体シンチグラフィ / 放射性ヨード / インディウム-111 / 悪性黒色腫 / 骨肉腫 / ヌードマウス |
研究概要 |
放射性同位元素で標識したモノクローナル抗体は試験管内、生体内で対応する抗原に特異的に結合する。従って核医学的手法で映像化することにより、癌、心筋硬塞、血栓症の画像診断ができるのみならず、副作用の少ない新しい癌の治療法に発展するものと期待される。本研究では放射性ヨード(I-131)およびインディウム(In)-111、ガリウム(Ga)-67、テクネティウム(TC)-99mなどの放射性金属核種を用いて、モノクローナル抗体標識法の基礎的研究を行なうとともに、悪性黒色腫(メラノーマ)患者を対象にIn-111標識モノクローナル抗体を静脈内投与しその臨床的有用性を検討した。 骨肉腫に対するモノクローナル抗体(OST-7)およびそのF【(ab^1)_2】分画を用いて、抗原への結合能を失うことなく上記の放射性同位元素で標識抗体を作製することができた。しかもいずれも、ヌードマウスに移植した骨肉腫に特異的に集積し、良好な腫瘍イメージングが得られた。しかしその体内分布、イメージングは用いる放射性同位元素素、IgGかF【(ab^1)_2】かにより著しく異なる。I-131標識抗体の場合にはF【(ab^1)_2】分画で高い腫瘍/非腫瘍比が得られたのに対し、In-111標識抗体はF【(ab^1)_2】分画では、肝臓・腎臓への集積が多くなり、IgGの方が望ましい結果が得られた。I-131標識抗体は生体内で脱ヨード反応により腫瘍への集積が低いのに対し、In-111標識抗体では腫瘍に高い取込みが認められた。In-111標識した悪性黒色腫に対するモノクローナル抗体(965およびZME-018)を用いて、従来のGa-67腫瘍シンチグラフィと腫瘍診断能を比較したところ、ほぼ同程度の精度であった。今後さらに抗体を用いるシンチグラフィの臨床的有用性を検討するとともに、大量のI-131、イットリウム(Y)-90標識抗体を用いる癌のアイソトープ治療に関する動物実験を行なう。
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