研究概要 |
DSAの欠点の1つである軟部、カズによる障害陰影を除去するために、エネルギーサブトラクション法(HS)をDSAへ応用し、画質を左右する因子の検討と画質改善を試みた。 実験的研究においてI.I.面における線量を測定したが、HSの高電圧,低電圧一組あたりの線量は2.48mRであったのに対し、通常のDSAの4枚加算では8.38mRであった。HSにおける一画像を形成させるに要した曝射線量では、通常のDSAの30%程度であった。HSの信号雑音比(SNR)は通常のDSAの約1/2であり、HS画質は、フレームの4枚加算を行うことによってわずかに向上が認められた。I.I.面での線量を増加させることによってもSNRの軽度の改善が認められた。 臨床床的研究ではIA DSA,IV DSAともにHSでは極めて良好なガス,及び軟部によるアーチファクトの消去がが可能であった。ガス,アーチファクトはDSAよりもよく除去された。しかし、少数例においては、アーチファクトの除去は殆ど差がなかった。 HSの血管抽出能は、通常のDSAに比して劣っていた。HSの診断能は通常のDSAに比べて多くの症例で劣っていたが、2例ではHSの診断能が優れていた。HSの血管抽出能は、IA DSAよりもIV DSAで劣っている印象であった。 HSのmetched filter,加算法,及び加算なしで画質を比較すると、matchedfilterを応用したHSの画質が最もよく、続いて加算法,加算なし,の順番になった。加算法を加えたHSでは、時に血管壁の不明瞭化がみられた。後処理を加えないHSでは、他の方法に比べてしばしば画質の低下がみられた。 今後、HSの画質を向上させるためにはI.I.面のX線量増加,及び適切な後処理プログラムの開発が必要である。
|