研究分担者 |
川崎 葉子 都立多摩療育園, 医師
仙田 周作 東京大学, 医学部(病), 文部技宮
金生 由起子 東京大学, 医学部(病), 医員
福田 正人 東京大学, 医学部(病), 医員
太田 昌孝 東京大学, 医学部(病), 講師 (00010281)
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研究概要 |
東大病院精神神経科小児部で幼児期にデイケア治療教育をうけた発達障害児の追跡調査のため, 現住所が判明している190例の両親に現在の教育的, 福祉的処遇をふくめた社会との関係, 医療, 家庭生活, 両親の障害に対する考え, および幼児期にうけた治療教育に対する評価を内容とするアンケート調査を行なった. 145通を回収し76.3%の回収率を得た. このうち自閉症は103例(男84, 女19, 4.4:1)を占め, 調査時年齢は5〜27歳, 平均14.3歳であった. 発達障害の治療のために54.0%が現在も医療機関に通院中であった. 通院例の比率は15歳以下の群(年少群)で58.3%, 16歳以上の群(年長群), で47.5%と, 年齢が高くなっても半数近くあった. 通院目的のなかには, 55.6%に養育上の助言をうけることがあり, 42.6%にてんかんの予防または治療があった. 調査時点における子どもの症状・行動異常のなかで親として気がかりなことは, 70.9%が知能障害を, 54.5%が対人関係の問題および話し言葉の問題を, 45.6%が人への関心の乏しさを, 40.8%が固執傾向をあげていた. 対人関係と肥満の問題は年長群の方が年少群よりも有意に多かった. 熱性けいれんをふくむ臨床発作の既住が幼児期には8.9%にあったが, 調査時点では25.0%と上昇した. 発作の発現年齢は10歳以下とそれ以降とが相半ばした. 発作の通算回数は5回までが78.0%, 10回以上のものが13.0%あった. 男女比は, 発作を生じた群が2.6:1, 発作を生じなかった群が5.3:1であり, 女子に発作出現が多い傾向を認めた. 調査時点までの発作の有無を幼児期における認知発達水準との関係でみると, 幼児期に関係概念が形成され始めている群12例では, 発作の発現が1例もなかった. 小学校入学時の教育形態は幼児期の認知発達水準によってかならずしも決定されていなかったが, 小学校卒業時及び中学校入学時において普通学級に在籍した例は, すべてが幼児期に関係概念の形成まで達していた.
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