研究課題/領域番号 |
61570521
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山口 成良 金沢大, 医学部, 教授 (00064501)
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研究分担者 |
古田 壽一 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (80190156)
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キーワード | 老年期睡眠障害 / 睡眠時無呼吸症候群 / 終夜睡眠ポリグラフィー(PSG) / WAIS / MMPI / WMS / 知能減退率(DQ) / 性差 |
研究概要 |
老年期の睡眠障害の病態生理を明らかにするためには、まず対照として健康高齢者の睡眠について検討を加える必要がある。そこで、健康高齢者に終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)および各種心理検査をあわせて施行し、それらの成績を比較検討した。 対象は、健康で自覚的な睡眠覚醒障害のない65歳以上の男性12名(66〜75歳、平均69.3歳)、女性6名(66〜82歳、平均74.7歳)である。PSGの睡眠段階は、Rechtschaffen & Kalesの方法により20秒ごとに判定して集計した。心理検査のうち、知的機能検査としてWAIS、Wechsler Menory Scale(WMS)を施行、性格検査としてMMPIを施行した。 男性群の中に、自覚的な睡眠覚醒障害を有さないにもかかわらず、睡眠時無呼吸症候群の基準を満たすのもが5例、睡眠時ミオクローヌス症候群の基準を満たすものが1例認められたが、女性群の中では睡眠時無呼吸症候群の基準を満たすものは1例にすぎなかった。睡眠構築については、男性群・女性群とも共通して、stage1や2の軽睡眠期の増加、REM睡眠の減少、中途覚醒の増加がみられた。また、女性群では男性群よりも、stage3や4の深睡眠が多く、無呼吸数も少なかった。また、心理検査との関連では、WAISのDeterioration Quotient(DQ)と無呼吸数との間に正の相関の傾向が認められた。 睡眠時無呼吸の性差、睡眠構築の性差については、内分泌的相違の影響が考えられる。また、夜間のhypoxiaの累積により知的機能の減退をもたらすことが示唆された。今後は、より対象を拡げて、自覚的な睡眠覚醒障害を有する高齢者、痴呆老人等の睡眠もあわせて検討する予定である。
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