研究概要 |
41例の睡眠時無呼吸症候群の患者に呼吸を中心とする終夜睡眠ポリグラフィを施行するとともにイヤーオキシメーターにより非観血的に動脈血酸素飽和度を連続測定した。これらのデータを分析し、睡眠構築,無呼吸,動脈血酸素飽和度の程度を明らかにするとともに臨床症状との関係について検討を加えた。又10例では睡眠前後の血奬ノルアドレナリン値を測定し、正常人とは対照的に睡眠中に上昇することを明らかにした。治療の試みとしては8例の症例においてアセタゾラミッド療法を行った。学会報告あるいは論文としたものは次の3つである。 1 睡眠時無呼吸症候群における過眠群と不眠群。第16回日本脳波筋電図学会。(昭和61年11月1日於筑波大学)。從来過眠を主訴とする群と不眠を主訴とする群は無呼吸の型のちがいによるとする説が主張されてきたが、われわれのデータからは無呼吸の型による差はなく、無呼吸の程度や動脈血酸素飽和度の低下が過眠群において著るしいことが明らかとなった。また性格傾向についても両群は対照的なちがいのあることが明らかとなった。 2 Plasma norepinephrine in sleep apnea syndrome.Neuropsychobiology(Basel)in press.睡眠前後の血奬ノルアドレナリン値を8例の本症候群の患者で比較した。また2例においては、終夜にわたり1時間ごとの採血を行い、睡眠中にノルアドレナリン値が上昇すること、この上昇は動脈血酸素飽和度の低下と関連していることを明らかにした。 3 睡眠時無呼吸症候群に対するアセタゾラミッド療法の試み-長期投与とポリグラム所見の変化。第16回日本脳波筋電図学会(昭和61年11月1日,於筑波大学) 臨床症状,睡眠構築,無呼吸,動脈血酸素飽和度の4面から本薬剤の有効性を検討した結果、閉塞型無呼吸を主とする症例においても有意な改善が認められた。
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