研究概要 |
Elマウス脳poly(A^+)mRNAよりsingle strand cDNAを合成した. このcDNAの大きさは, 350〜400nucleotidesで, 38Sの沈降係数を示した. Rot10^4におけるcDNA-poly(A^+)mRNA saturation hybridizationでは, Elマウスのpoly(A^+)mRNAとで78%, 痙攣履歴のないEl(O)とで75%発作非感受性のddYとで55%となり, ElとddYとで有意差がみられた. Elマウスでは塩基配列の複雑性が低いabundant classが24%, 中等度の複雑性のあるintermediate classが50%, 複雑性の高いrate classは26%のhybridizationを示し, これらのcomplexityは, それぞれ1.49×10^5, 4.64×10^6, 1.87×10^7nucleotideであった. ddYのpoly(A^+)mRNAとElのcDNA probeとのcross hybridizationでは, そのcomplexityが5.5×10^4, 1.8×10^6, 1.28×10^7nucleotideで, この結果からElとddYとの間での最も著しい相違は, abundance classに認められた. Elマウス脳poly(A^+)mRNAよりcDNA libraryを調製した. ここから分離したsingle-strand cDNA probeとddYのpoly(A^+)mRNAとの間でin situe hybridizationを行った. 生じたcDNA-mRNA hybridは500個の陽性cloneが得られた. plasmid DNAをHindIII, PstIで切断した後, ddYマウスcDNAとSouthern-blotingを行ったところ, 500個のcloneのうち, 400個のcloneが陽性となった. ^<32>PでラベルしたcDNAより分離したinsert DNAをrestriction euzymeで切断し, nothern blotingをddY poly(A^+)mRNAとの間で行った. 500cloneの中200個が陽性となった. これらの結果は, ElとddYマウスとでは, 遺伝子レベルではかなり高い相同性を示すことを意味する. 従って生ずるmRNAの相違は転写後のprocessingの段階で生ずるものと考えられ, これが発作感受性に相関するものと推測される.
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