研究概要 |
連続血糖計測システム, AD変換ボード・数値換算プロセッサー, static RAM ボードを実装したパーソナルコンピュータ, インスリン・ブドウ糖注入ポンプを結合, integrated closed-loop control systemを作成した. このシステムに(a)ノイズ除去アルゴリズム(b)血糖予測アルゴリズム(c)生体内ブドウ糖・インスリン循環動態アルゴリズム(d)皮下組織インスリン・コンパートメントモデル(e)closed-loopインスリン・ブドウ糖静脈内注入アルゴリズム(f)血漿ブドウ糖・インスリン"クランプ"アルゴリズムをc言語を用いて記述し, エキスパートシステムを作成した. このシステムにより, 連続測定された血糖値データ, インスリン・ブドウ糖注入率から生体内のブドウ糖・インスリン動態の"real time"での追跡が可能となった. 開発したエキスパートシステムを用いて, (1)糖尿病患者の血糖日内変動の制御をインスリン皮下注入により行い, 良好な血糖制御を得た. 内部のコンパートアナリシスより推定した血漿インスリン濃度は, 実測値とよく一致した. (2)健常人, 糖尿病患者, 膵部分移植症例のEuglycemic clamp,Hyperglycemic clampを行い, インスリン感受性の安定化を試みた. インスリン依存型糖尿病症例では, インスリン感受性は正常であること, また, インスリン非依存型糖尿病症例ではインスリン感受性の低下を認めた. (3)closed-loopインスリン静脈内注入により血糖制御に成功した多数の糖尿病患者の患者プロフィール, 血糖制御時の血糖, インスリン注入量等のデータベースより以後の強化インスリン療法時のインスリン注入パターンを求めるアルゴリズムを演驛した. このアルゴリズムに基づきpraspective studyを行い, 治療を試みた糖尿病患者全例において, 強化インスリン療法時にも, 静脈内インスリン注入時と同様の血糖制御をえた. 以上, 作成したシステムは糖尿病診断治療に極めて有用であることを認めた.
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