研究概要 |
糖尿病母体の新生児は、胎児仮死、発育遅延、巨大児、奇形など種々の合併症を生じる。この様な合併症を防止するため、きわめて厳格な血糖のコントロールが推奨されている。これはしばしば低血糖を伴う危険性があるが、低血糖の催奇形性については十分研究されていない。 器官分化過程のembryoは そのエネルギー産生系をglycolysisに依存しており、8〜12時間 低血糖血清(インスリン注射による)で培養すると、奇形発生に導くことを報告した(Diabetlagia 30:791,1987) 現在までの実験では、長時間の低血糖であったので、短時間の低血糖のembryogenesisに及ぼす効果を検討した。培養液は、正常ラット血清(140mg/dl)および、正常ラット血清にglucoseを加えた(600mg/dl)過血糖血清で2日間(妊娠第9日〜11日)培養し、そして妊娠10.3日に一時間のみ低血糖にさらしembryogenesisに及ぼす効果を検討した。 正常血清→低血糖、でも約7%の奇形を生じた。しかし、過血糖血清→低血糖にした時、奇形の発生頻度は、30%に増加し、更に強い発育遅延を生じた。この時 glucoseの取り込み、乳酸の産生は、25%から50%にも減少を示した。(Diabetes,in press)
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