研究概要 |
上記のテーマにつき以下の成果を得た。 1.正常ラットにおいては1)迷走神経肝臓枝を切断するとアルギニン負荷時のインスリン,グルカゴン分泌が増強されたことより、迷走神経肝臓枝のaffer-ent fiberが両ホルモン分泌に対して抑制的に作用していること(Neurosci.Lett.72:74,1986)、2)この現象はアルギニン負荷時には迷走神経膵臓枝のアクションポテンシヤルは抑制されるのに、迷走神経肝臓枝を切断するとこの抑制が解除されたことより、電気生理学的にも証明できること(Neurosci.Lett.72:69,1986)、3)迷走神経膵臓枝を切断してもアルギニン及びブドウ糖負荷時のインスリン分泌には影響がないこと(Diabetes 1985,p263,1986)などが判明した。 2.視床下部腹内側核(以下VMH)破壊ラットにおいては1)迷走神経肝臓枝を切断してもブドウ糖負荷時のインスリン分泌には影響がなかったことより、VMH破壊ラットでは既に迷走神経のefferent fiberが刺激状態になっていてインスリン過剰分泌になっているのでafferent fiberの役割が少ないこと(第30回日本糖尿病学会にて発表予定)、2)迷走神経膵臓枝を切断するとブドウ糖及びアルギニン負荷時のインスリン分泌は半減するが、完全には正常化しないことことより、VMH破壊ラットのインスリン分泌過剰は迷走神経因子のみでなく、交感神経因子も寄与していると既に発表した我々の成績(Am.J.Physiol,245:R372,1983)と一致すること(Diabetes 1985,p263,1986)が判明した。 3.62年度においては正常ラット及びVMH破壊ラットにおける交感神経因子の分析と糖尿病ラットにおける迷走、交感神経の役割を同一手法により追求を継続する予定である。
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