研究概要 |
本年度は高インスリン血症を特徴とする視床下部腹内側核破壊ラットとインスリン不足状態のモデルのストレプトゾトシン糖尿病ラットにおけるグルコースセンサーとアルギニンセンサーの機能について検討した. 第一の実験では, ストレプトゾトシン糖尿病(35mg/kg)ラットを作成し, 迷走神経肝臓枝切断群と偽切断群にわけ, グルコース(1g/kg)とアルギニン(1g/kg)の腹腔内投与を行ない, インスリン分泌とクルカゴン分泌を比較した. グルコース負荷では切断群はインスリン分泌が低下し, アルニン負荷では切断群のインスリン及びグルカゴン分泌が増大した. 従って, この病態では両センサーが作動していることが示唆された(第13回 国際糖尿病学会演題提出中). 第二の実験では, 視力下部腹内側核破壊ラットを作成し, 迷走神経肝臓枝切断群と偽切断群にわけ, グルコース(1g/kg)とアルギニン(1g/kg)の腹腔内投与を行ない, インスリン分泌とグルカゴン分泌を比較した. グルコース負荷では切断群はインスリン分泌は低下したが, アルギニン負荷ではインスリン及びグルカゴン分泌に切断による影響をみられなかった. 従ってこの病態ではVMH破壊後の迷走神経遠心路の興奮のために, グルコースセンサーの作働はみられたが, アルギニンセンサーは見かけ上作働していないことが示唆された(第1回 ヨーロッパ肥満学会演題).
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