研究概要 |
本年度はトロンボポエチン(Tpo)の活性測定系を開発した。従来のin vivo投与によるものからin vitro法に移行すべく実験を行った。C57BLマウスの骨髄細胞(7.5×【10^4】)をOFP処理ウシ胎児血清15%添加IMDM培地0.2mlに加え、マイクロタイタープレート中で6日間培養する。培養終了後Triton×-100で細胞を融解し、培地中のアセチルコリンエステラーゼ(AchE)の総活性を測定する。この培地中に1L-3(WEHI-3培養上清を使用)が存在すると約20%の濃度まで用量反応的にAchE活性が上昇する。TpoはIL-3に比し、より成熟した巨核球系細胞に働くことが知られ、1L-3と共存させると相乗効果を示すことが報告されている。実験的に血小板を減少させたラットの血清中にはTpo活性が高いことが知られているので、WEHI-3培養上清を種々の濃度で加え、Tpoとの相乗効果を検討した。培養上清を2.5%および5%の存在下で、Tpoを加えると、対照として使用した正常ラット血清に比し3〜4倍にAchE活性が上昇した。またこの上昇は加えるTpoの量に比例することも明らかとなった。これらの結果から本測定系はTpo活性測定に有用と考えられ、さらに最終段階の比色定量をコンピュータに連動させ自働化することにも成功し、短時間に、しかも多数の資料を処理することが可能となった。この方法を用いて再生不良性貧血患者尿よりのTpoの精製を試みた。エタノール沈殿(70〜90%画分)標品を逆相系の液体クロマトグラフィーを用い精製後、ゲル漏過系の高速液体クロマトグラフィーで分子量15万以上,6万,18万の3つの活性画分を得た。各々の画分は電気泳動上、未だ数本の蛋白バンドが認められるが、高速液体クロマトグラフィーを駆使することにより分離可能と思われる。
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