AIDSの原因ウィルスであるHIV-1感染者は原因ウィルスがRNAウィルスである為に終生感染者であり、また感染源となりうる。感染者の病態を把握する上で感染細胞の同定及びHIV-1抗原の検出が最大の課題である。故にHIV-1の構成成分に特異的に反応するモノクロナル抗体(VAK4)を作製した。VAK4抗体は検索した全てのHIV-1、HIV-2、SIVに反応し、HTLV-1、-2感染細胞とは反応せずHIV及びその類縁ウィルスに特異的な保存領域を認識している事が明らかになった。またVAK4はHIVの主なga蛋白(P24)を認識していた。変異の激しいと言われている種々のHIV-1間で共通エピトープが明らかになれば、そのエピトープを用いて特異性の高い抗HIV抗体或いはHIV抗原のアッセイキットを開発できる。VAK4の認識エピトープを確認する為にはP24の全部とP15の一部を含む遺伝子を含むアミノ酸残基121-436をHIV-IIIB遺伝子より切り出し1acプロモーターの存在下でPUC8ベクターに組み込みそのプラスミッド(PG24)を大腸菌に発現させた。また121-309のアミノ酸残基を含むプラスミッド(PG23)も同様な方法で大腸菌に発現させ、VAK4抗体に対する反応性をW-B法で確認した。またVAK4抗体はPG24を組み込んだ大腸菌溶解液には反応する物のP23を組み込んだそれには反応しなかった。これらよりVAK4抗体の認識エピトープはPG24のC端の100個のアミノ酸である事が示唆された。現在P24をVAK4抗体で精製し更にペプチターゼで酵素処理後更にVAK4抗体でアフィニティクロマトグラフィーを用い精製し、精製分画のアミノ酸組成を知る事によりVAK抗体の認識するエピトープを同定する試みを行っている。保存エピトープが明らかになれば抗原測定法の開発に多大な寄与をすると思われる。
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