研究概要 |
巨核球系造血因子の作用をin vitroで検討してゆく場合にそのtargetとなる細胞(巨核球コロニー刺激因子の場合CFU-Meg,トロンボポエチ2の場合未熟〜成熟巨核球)を出来るだけ分離濃縮する必要があり、このためPercoll連続密度勾配法を用いてラット骨髄中の巨核球系細胞の分離に関する基礎的検討を行った。この結果、巨核球系細胞であるCFU-Meg,未熟巨核球(SACHE),成熟巨核球は、この順に高比重層→低比重層に分布し、ある程度までこれらの細胞を分離、かつ濃縮することが出来た(第49回日本血液学会発表予定)。今後これらの細胞分画を用いて巨核球系造血因子の定性的、定量的アッセイを試ろみる予定である。上記の実験で分離前の骨髄においてSACHEの総巨核球数に対する割合は10〜12%ときわめて一定の範囲にあることがわかった。 ヒトにおいて巨核球・血小板過剰産生をきたす代表的な疾患として原発性血小板血症(ET)および真性多血症(PV)があるが、その過剰産生のメカニズムを巨核球幹細胞(CFU-Meg)のin vitroでの増殖動態の観点から検討を行い、ETのほぼ全例およびPVの一部の症例(特に巨核球数増加を示す症例)においては、CFU-Megの数的増加に加え刺激因子を加えずに増殖を示すSpontaneous CFU-Megを認めた。これらの患者の血奨中には巨核球コロニー刺激因子は増加しておらず、これらの疾患における巨核球・血小板の異常産生は、刺激因子が増加していない環境でも増殖しうる異常CFU-Megのポピュレーションによっていると考えられた。(Am J Hematol 24;23-30、1981、Acta Haematologica Jpn 49:1696,1986)
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