研究概要 |
再不貧患者血清・尿より流安沈澱法にて蛋白を得、トロンボポエチン(TPo)の分離・濃縮を試みたが十分な成果は得られなかった。大きな理由として、TPoのアッセイ法として用いたマウス巨核球培養系が必ずしもTPoのみではなく種々の造血因子に反応してしまい、活性の得られた分画が必ずしもTPo分画とはいえないことによると考えられた。患者血清・尿などからのTPoの分離・精製という方向は現時点では困難と判断し、現時点で入手可能な因子を遂一、培養系へ添加しTPo作用の有無を検討してゆくこととし今回GM-CSF、ILー6について検討を行った(Ep、ILー3についてはすでに巨核球刺激作用のあることを報告しているが、in vivoでTPoとして作用している可能性はうすい)。 マウスrecombinant GM-CSFをマウス巨核球培養系(巨核球コロニー,液体培養,単一巨核球培養)へ添加し、巨核球系に増殖および成熟作用を有することが示された。単一巨核球培養により作用はdirectであることが実証された。しかしGM-CSFのマウスin vivo投与では(2μg×6日間)血小板増多作用はなくTPoとしての作用は認められなかった(投稿中)。 上記のマウス培養系へILー6(BSF-2、ヒトrecombinant)を添加した場合、単独では巨核球コロニー形成作用はないがILー3の存在下で巨核球コロニーを増加させた。また巨核球サイズの増加作用があり、巨核球に対し"増殖"促進作用はないが"成熟"促進作用を有する(投稿中)。その作用は、最初に報告されたB-cell differentiating factorという作用を別にすれば、比較的巨核球系に特異的でありTPoの性格とよく合致している。現在、本因子のin vivo作用(マウス)を検討しin vivoでTPo作用を有するかどうかについて研究が進行中である。
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