研究概要 |
1.ラットの背部に直径1.5cmの円形の皮フ欠損創を作製し、ここに半導体パルスレーザー(波長890nm,5kHZ,パワー密度2mw/【cm^2】を2週間にわたり連日照射した。そののち、この皮フ欠損部内に出来た肉芽の乾燥重量及びコラーゲン量を測定した。表に、照射量別の肉芽の各々の量を示す。 対照群 0.12J/【cm^2】 0.6J/【cm^2】 1.2J/【cm^2】 3.6J/【cm^2】 《有意差》 乾燥重量 14.8 * 20.1 * 19.7 * 20.0 * 16.0 * P<0.05 (mg) ±2.2 ±1.6 ±2.3 ±2.2 ±2.9 collagen量 299 ** 438 575 ** 473 401 ** P<0.05 (ug) ±140 ±113 ±114 ±98 ±144 以上の結果、肉芽形成促進のための最適照射条件は、0.6J/【cm^2】であることがわかった。又、レーザー照射による肉芽形成促進の作用機序を検索するため、肉芽を組織学的に検討したところ、レーザー照射により炎症性細胞浸潤が抑制される傾向が認められた。今後、この炎症抑制と肉芽形成促進との関連性を検討してゆくつもりである。レーザー照射による副作用をチェックする意味で、照射後ラットより採血し、血液生化学的検査を行なったが、異常値を認めなかった。S62、63年度に、実際に臨床応用を行ない、難治性皮フ潰瘍や瘻孔に照射し、その効果を観察する予定である。 2.レーザー照射による静脈吻合に関しては、1.6J/【mm^2】の照射量で血管が変牲することがわかった。現在、この条件を満たすようなレーザーを浜松ホトニクスにて製作中である。試作品が出来次第、ラット・犬などを使って実際に血管吻合を行なう予定である。
|