研究概要 |
1.ドンリュウ系ラット肝の門脈潅流によって類洞内皮細胞を採取してこれを継代培養して研究に供している。 腫瘍細胞の門脈内皮への着床が転移形成のひとつの型であることは容易に予想されるが、細胞の性質・転移形成能の異る5系のラット腹水肝癌細胞と肝類洞内皮細胞及びその基質との付着性を検討したところ、高い肝転移性を示す自由細胞型癌細胞が他の細胞に比して類洞内皮細胞及びその基質に対し高付着性を示すことがみとめられた。 肝類洞内皮細胞における着床の電顕像では、自由細胞型癌細胞が、類洞内皮細胞の特徴的構造である有窓性胞体内を通過する所見が得られており、基質付着型細胞では内皮細胞接合部での侵入所見が得られている。 Mytomycin,Adriamycinの投与は内皮細胞の剥離をもたらし露出した基質への着床が著明にみとめられた。同様の傾向は血小板,白血球を作用させてもみとめられていない。他の薬剤についてはまだ一定の成績が得られていない。 2.Tissue plsminogen activator投与後、血栓内分布については家免頚静脈血栓を用いたラジオオートグラフィーでみるかぎり、血栓の表層に定着して時間経過に伴う深部への侵入は全くみとめられないことが示された。しかし、血栓は形成の3日後には内皮細胞で被覆されてしまう。線溶薬剤の対象となる新鮮血栓は線溶薬剤を付着させたまま表面から溶解縮少していくことも想像される。この点についての検討を行うためモデルの新鮮血栓の一般形態とその時間的推移はHE標本によって把握し得た。しかし薬剤の局在を免疫組織学的に確認する作業は未だ終了していない。
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