研究概要 |
免疫賦活剤の作用機序の一つとして、マクロファージ(Mф)の活性化が注目されるが、免疫療法の効果を増強向上させるためには、Mфの抗腫瘍活性を効率よく高めることが重要である。本年度においては、Mфの腫瘍細胞への接触性と殺細胞性との関連性及びBiological response modifierによるMф活性化の条件について、走査電顕により形態学的検討をおこなった。 活性化M〓はその性状と機能の多様性,変動性,不均一性からlineageの異なる細胞集団の存在、あるいは分化段階による機能の異ったMфの存在が考えられる。走査電顕によりBRM(OK-432,LC-9018,WPG,IL-2,IFN,TNF)刺激によるマウス腹腔Mф表面微細構造を観察し、形態と機能との相関を求めた。 Mф活性化をSpreadingとRuffle形成によりRuffleの大きさはR【I】〜R【III】、Spreadingの強さはS【I】〜S【III】に分類した。無処置群Resident MфはSpreading及びRuffleの活性化を認めないS【I】,R【I】は90%に認められ、活性化に伴ってRuffleは大きくなり、Spreadingが出現した。形態学的にR【III】,S【III】について検討すると、OK-432,LC-9018,WPGなど細菌由来、及びPSK投与群では50%以上のMфに出現した。IL-2,IFN,TNFのサイトカイン投与群では17%以上のMфに出現したのみであり、この割合はproteose-pepton induced Mфと同程度の活性であった。更に、Spreadingと細胞障害性に相関性を認め、S【III】のMфの増加に伴い、細胞障害活性およびBinding活性の上昇が認められた。OK-432投与後のMф表面構造の変化を経時的に観察すると、Ruffle形成は投与1時間に出現し、14日まで継続したが、Spreading活性は4日目にピークを示し、10日目より漸減した。腫瘍細胞はこれら活性化Mфの接触により破壊されており、BRMの種類及び細胞障害性とMфの表面微細構造に関連性が示唆された。
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