研究概要 |
免疫賦活剤の作用機序の一つとして, マクロファージ(Mφ)の活性化が注目されている. 免疫療法の効果を増強させるにはMφの抗腫瘍活性をより効率よく高め, またがん細胞側においては, がん細胞膜を修飾することによりがん細胞のMφに対する感受性を高めることが必要である. 本年度においては, Biolgical response modifier(BRM)を用いた免疫療法におけるMφ活性化の条件について検討を加えた. 活性化Mφはその性状を機能の的様性, 変動性, 不均一性からlineageの異なる細胞集団の存在, 分化段階による機能の異なったMφの存在が考えられることから, 走査電顕によるマウス腹腔Mφの形態分類と抗腫瘍活性の関連性を求めた. Mφの活性化による形態学的変化を細胞表面のruffle形成をRI無処置群と同等, RII:中等度(1〜2μm), RIII:高度(2μm以上), さらにMφのspreadingを扁平化と極性により分類した. すなわち, SI:扁平化【○!-】, 極性-【○!-】, SII:扁平化【○!+】, 極性【○!-】, SIII:扁平化【○!+】, 極性【○!+】である. 無処置MφはRIのruffleが91.7%に認められ, SIIIは88%に認められた. OK-432(1KE)投与により, 投与後1日目にはRIIIruffleは, 93.9%に認められた. RIIIの形態は投与後次第に減少し, 2週目には71.3%となった. またSIIIspreadingの出現は投与4日目にピークを示した(75.3%)Mφと腫瘍細胞MM102とのinteractionを観察すると, Mφの腫瘍細胞に対するbindingは6日目にピークを示し, この時点で腫瘍細胞の破壊が最も顕著であった. ピフィズ菌由来のWPGにおいても同様の活性化が認められたが, PSKにおいてはRIIIruffleの出現は86%に認めたが, SIIIspreadingの出現は41.6%と低く, 腫瘍細胞の破壊率も低値を示した. 活性化Mφの抗腫瘍性と形態変化は, Mφのspreadingが関連していることが示され, Mφのspreadingを指標にBRM免疫療法の至適投与条件の設定をすすめている.
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