マクロファージの抗腫瘍効果を効率よくするためには、マクロファージ-腫瘍細胞の相互関係において、腫瘍側要因としてがん細胞膜を修飾することにより、マクファージの腫瘍細胞に対する親和性を高め、マクロファージの抗腫瘍効果の増強をはかる事が重要である。まず、マクロファージ活性化作用を有する溶連菌製剤OK-432によるマウス腫瘍細胞膜の修飾を検討した。OK-432にて0.1KE/ml、2時間処理した腫瘍細胞に対するOK-432活性化マクロファージの腫瘍細胞増殖抑制活性は、MH134細胞、Meth-A細胞に対して無処置腫瘍細胞に対する活性に比較して有意に活性の増強が認められた。さらに、走査電顕学的に腫瘍細胞に対する活性化マクロファージの結合性、腫瘍細胞障害性を検討すると、結合性はMH-134、Meth-A細胞に対して有意に亢進し、MM102細胞に対してもその傾向が認められ、OK-432により、腫瘍細胞膜の修飾が惹起されマクロファージの抗腫瘍活性が増強されると考えられる。次に、BRMによるマクロファージ活性化の機序をさらに検討する目的でFITC標識OK-432を用いて分画し、形態学的変化を観察した。FITC標識OK-432 1 KEを腹腔内投与4日後の浸出細胞をflow cytometryにて解析すると、マクロファージ分画の占める割合は、非投与群の17%に対してFITC標識OK-432投与群では39.3%を占めた。FITC標識OK-432投与群においてgatingすると、陽性細胞の割合はリンパ球分画2.1%、マクロファージ分画15.8%であり、OK-432はマクロファージに取込まれ、さらに、FITC標識OK-432陽性マクロファージを分離すると、陽性マクロファージは細胞表面が薔薇の花弁状のruffleにより覆われ、lamellipodiaの出現が顕著であり、抗腫瘍性を示すマクロファージに類似した。
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