研究概要 |
One Wayリンパ球混合培養(MLR)により誘導された抑制性T細胞をクローニングすることを試みた. さらにその同種抗原特異性を明らかにすることを目的として以下の実験を施行した. 1.方法:刺激リンパ球HT(HLA-A26, 31;B7, W61;DR4, W8;DQW3, -)と反応リンパ球KH(HLA-A24-;B7, W60;DR1, 4;DQW;W3)のone way MLRを施行し, 培養6日後の細胞からstnble E-rosette formingcell(SER)を採取し, 単クローン抗体9.3(HANSEN)とウサギ補体で処理した. この細胞をrecombinant IL-2とfeeder cellを用いたlimiting diluction法によりクローニングを施行した. 2.結果:1)計72クローンが採取され, その中4クローンはprimingMLRを著明に抑制した. この中の3クローンはHTまたはKH細胞に対してCytoeoxicieyを示し, 唯一クローンIII-1-C5のみがcytotoxicity陰性であった. すなわちクローンIII-1-C5は抑制性T細胞クローンである可能性が推測された. このクローンは1年以上に渡って抑制効果を保持して継代培養可能であった. 2)priming MLRにおける刺激細胞HTの他にHTのHLA抗原の少なくとも1つを有する8種の刺激リンパ球を用いたMLRに対するクローンIII-1-C5の抑制効果を検討した. その結果priming MLR以外のMLRに対する抑制効果は証明されなかった. クローンIII-1-C5はHLA-A, B, DR, DQとは異なるアロ抗原特異的な抑制性T細胞クローンと考えられる. 3.結語:ヒトリンパ球MLRより誘導された細胞をlimiting dihition法によってクローン化した所, 72クローンが採取された. その中1クローンのみが抑制性T細胞クローンであった. その抑制性T細胞クローンの同種抗原特異性はHLA-A, B, DR, DQ抗原とは相関せず他の同種抗原(DP又は未知の抗原素)との相関を考える必要があるものと思われた.
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