我々は新たな免疫抑制療法の可能性を求めて、健康成人よりin vitroでクローン化ヒトMLR抑制細胞(III-I-C5)を採取し、このクローンが自己細胞を反応細胞、priming細胞を刺激細胞とするMLRをnon-cytolytic mechanismにより特異的に抑制する事を報告してきた。 1.クローン化抑制性細胞の膜抗原特異性 モノクロナール抗体OKT3、OKT4、OKT8、抗HLA-DR、抗Leu15の5種類と補体の処理によりクローン化細胞のcytotoxicityとMLR抑制能を検索した。その結果クローン化抑制細胞はOKT3、OKT8陽性T細胞であり、HLA-DR抗原を発現していることが判明した。 2.クローン化抑制性細胞のMLR抑制機序の検討 このクローン化抑制性細胞が何らかの抑制因子を産生しているか否かを検索したpore size 3ミクロンの膜で仕切られたwellをもつ培養プレートの一方のchamberにクローンIII-I-C5を、他方にテストするMLR細胞を入れ、クローン化抑制性細胞とMLC細胞の直接接触は避けるが、液性因子は移動する系を用いた。その結果ガンマ線照射したクローンIII-I-C5はprimingMCL(γ-KH+γ-HT)の存在下で膜で隔てられたMLC(KH+γ-Hi)を抑制した。このMLR抑制効果はIII-I-C5のautoであるresporder KHとtrird party cell TYのMLRU おいてもみられる。更にtrird party EYをresporderとするMLRをも抑制する。従ってこの抑制因子はMHC restrictionのない非特異的性格を持つ液性因子と考えられた。また、priming MLRの存在下においてのみ抑制因子の分泌にはoriginal MLRによる特異的刺激の存在が必要と考えられた。この様な非特異的抑制因子は臨床的免疫抑制方法としての応用に道を拓くものと思われる。
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