我々はクローン化抑制性細胞の免疫抑制療法への応用を目的として実験を推進し以下の結論を得た。 1.ヒトin vitro MLRにおける抑制細胞の性状 MLRにより誘導される抑制細胞はMLR3日目から11日まで出現する。その性状はallo-antigen specificであり、1000radまでのX線照射に抵抗性であり、1500rad照射とマイトマイシンCにより機能が抑制された。また、heat stable E-rossette形成能を示した。 2.クローン化抑制細胞の採取 ヒトone way MLRの6日目の細胞から抑制細胞rich fraction分離し、IL-2とfeeder cellを用いたlimiting difution法によりクローニングを施行した。その結果72クローンが採取された。この中クローンIII-1-C5のみが、non-cytolyticの機序によりoriginal MLRを抑制し抑制性T細胞クローンの可能性が示唆された。このクローンは2年に渡って抑制効果を保持して継代培養可能であった。 3.クローン化抑制細胞の性状 クローンIII-1-C5はoriginal MLRのみを抑制し、HLA-A、B、DR、DQのいずれとも異なるアロ抗原特異性を示した。その細胞膜抗原はCD3、CD8陽性T細胞であった。 4.クローン化抑制細胞の抑制機序 クローンIII-1-C5のMLR抑制効果は非特異的液性因子に起因する。しかしこの液性因子はγ線照射したpriming MLRの存在下においてのみクローン細胞より産生される。この様な非特異的免疫抑制因子は臨床応用への道を拓くものと考えられた。
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