研究課題/領域番号 |
61570618
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
早坂 滉 札幌医大, 医学部, 教授 (30045306)
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研究分担者 |
伝法 公麿 札幌医科大学, 第二病理, 助教授 (00045444)
石田 君子 オクラホマ大学, 一般外科, 臨床助教授
戸塚 守夫 札幌医科大学, 第一外科, 助教授 (40045331)
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キーワード | Vasoactive Intestinal Peptide(VIP) / 敗血症性ショック / E.coli注入犬 |
研究概要 |
消化管は細菌とその毒素の源でありショックの際にはTarget.Organの一つとして影響を受けやすいところである。また神経細胞や神経節がエンドトキシンの作用点として重要となる。Vasoactive Intestinal Peptide(VIP)は広く消化管領域に分布しているペプチドであり神経分泌物質の性格をそなえているので敗血症性ショック時には充分変動する可能性がある。そこで今回は血中VIP濃度が敗血症性ショックの診断・治療効果の指標として役立つかどうかを生菌【LD_(100)】E.coli注入犬を使って検討し興味ある知見を得たので報告する。 1.【LD_(100)】E.coli注入犬の平均生存時間は21時間ですべての犬は33時間以内に死亡した。これらの犬の血中VIP濃度はいずれも高値を示し、3時間で最高値をとりその後しだいに低下した。 2.E.coli注入犬にステロイドおよび抗生物質を投与すると抗生物質のみ投与した群よりも7日生存率は17%に比べ83%と上昇した。また血中VIP濃度の上昇は抗生物質単独群よりもステロイドと抗生物質投与群で抑制された。 3.E.coli注入犬の中で薬剤(ステロイドand/or抗生物質)投与で生きのびた犬の血中VIP濃度は3時間で最高値となりのち徐々に低下し48時間値で正常範囲にもどった。 以上より【LD_(100)】E.coli注入犬において血中VIP濃度の変化は敗血症性ショックの生存率と相関する可能性がある。麻酔された犬に【LD_(100)】のE.coliを注入することによって作製された敗血症性ショックモデルにおいて血中へのVIP放出は敗血症性ショックの病態生理の中でmediator/modulatorの役目をはたすと思われる。 62年度は、敗血症性ショックの重症度と消化管出血の程度に相関が認められるかという点を中心に血中VIPの研究を行なっていきたい。
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