[目的]肝の免疫学特性に着目し特異的免疫抑制法の開発を目的とした。 [方法]1.LEW(RT1^e)、BDE(RT1^U)、DA(RT1^A)の純系ラットを使用した。移植モデルとして異所性心移植をBDEからLEWに行ない、心の生着日数を検討した。又DAからLEWへの移植はthird party群とした。肝細胞の分離はBerry & Friendの方法に準じた。脾細胞分離は、脾を細切してメッシュを通し赤血球をTris-Bufferにて除去して用いた。2.DTH反応:BDE私細胞2×10^7個をLEWの背部皮下にprimingし、7日後に2×10^7個のBDE脾細胞をLEW耳介部にchallengeして、48時間後の耳介部腫脹度を100%とした。3.実験群:(1)control群、(2)肝細胞の脾内移入実験として、BDE肝細胞処置群、LEW肝細胞処置群、DA肝細胞処置群を作成した。(3)DTHはcontrolに対し、BDE及びDAの肝細胞1×10^7個をprimingの4日又は7日前に移入した時の反応を検討した。(4)脾細胞の門脈系及び静脈内投与実験として次の実験群を作成した。BDE脾細胞は1×10^8個とした。投与日はLEWへの心移植1日前及び7日前とした。 [結果]1.肝細胞の脾内移入実験:BDE心の生着日数は、donerと同系のBDE肝細胞を移入した時、平均生着日数14.3日であり、recipientと同系のLEW肝細胞移入の時、9.3日、third partyのDA肝細胞移入では9.5日、control群では6.7日であった。2.DTH反応:ontrolと比べdonor specificな抗原投与後、即ちBDE肝細胞1×10^7個をprimingの4日または7日前に脾内に移入した時のDTHはそれぞれ44.6%、74.2%であった。一方、third partyのDA肝細胞移入の時のDTHはそれぞれ72.5%、76.5%であった。3.脾細胞の移入実験:BDE細胞1×10^8個をLEWの門脈内に移入、その1日後または7日後にBDE心をLEWに移植した生着日数は、controlの6.7日に対しそれぞれ18.7日、24.3日であった。又、脾細胞の投与経路を静脈系にした時の生着日数は、それぞれ29.6日、27.0日であった。
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