研究概要 |
脾の自己移植の感染免疫と、腫瘍免疫に対する効果を明らかにする目的で昭和61年度は、まず、感染予防にもっとも有効な移植部位,および移植量を検討した。(1)脾の移植部位の検討:ラットを用い偽手術群,脾摘群,大網内移植群,腹壁筋層内移植群の5群に分け、摘出脾全体の約50%を移植し、4ケ月後に肺炎球菌に対する感染予防効果を検討した。血中からの肺炎球菌クリアランス,生存率の結果から、移植部位として大網内がもっとも有効である事が判明した。(2)脾の移植量の検討:ラットの大網内にそれぞれ20〜30mg,50〜60mg,100mg,200mg,300mgと異なった脾組織量を移植し、4ケ月後に肺炎球菌に対する感染予防効果および再生脾組織量を検討した。血中からの肺炎球菌クリアランス,生存率,再生脾組織量の結果から、感染予防効果を示すには、少なくとも、もとの脾組織の約50%が必要である事が判明した。 なお、今後の研究の展開として、(1)再生した移植脾のマクロファージの機能を測定し、正常対照脾および末血中の単球,多核年血球と比較する。(2)再生した移植脾のリンパ球サブセット,リンパ球幼若化反応を測定し、正常対照脾および末血リンパ球と板較する。(3)脾摘後、脾の自己移植を行なった胆癌ラットを用い、移植脾のNK活性,IL-2活性,Killer活性を測定し正常対照脾および末血細胞と比較する計画である。
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