研究分担者 |
名川 弘一 東京大学, 医学部・第一外科, 医員
酒井 敬介 東京大学, 医学部・第一外科, 医員
前田 守 東京大学, 医学部・第一外科, 助手 (10181596)
小堀 鴎一郎 東京大学, 医学部・第一外科, 助手 (30110696)
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研究概要 |
1.ラット脾の薬剤による灌流 生理食塩水を、摘出したラット脾の血管より注入する方法と、脾を直接27Gの翼状針で穿刺し注入する方法を試みたが、後者の方が簡便であり薬剤の浸透も良いという結果を得たので、以後この方法を実験に用いた。 2.摘出したラット脾の自家移殖 ラットの脾を摘出し、12片に細切した後、皮下,後腹膜腔(両側腎外側)および遊離腹腔内に置き、生着の状態を移植1カ月後および3ケ月後に検索した。腹腔内においたものは生着率が低く、皮下と後腹膜腔へ移植したものは、ほぼ生着していた。光顕的には後腹膜腔へ移植したものが、形態の保存状態が最も良好であった。生食および、インターロイキン2を1の方法で注入後、移植,検索したが、やはり同様の結果を得た。 3.担癌ラットに対する脾の自家移植 近交系ウイスターラットに可移植性の自然肺転移をおこす胃癌(小堀)を移植し、9日目に脾臓を摘出、上記1.および2.の方法に従って、脾を生理的食塩水,インターロイキン2,抗アシアロG【M_1】で灌流し、後腹膜腔へ移植した。この4週後にラットを屠殺し、皮下腫瘍の大きさと、肺転移数を検索したところ、インターロイキン2を使用した群で腫瘍の大きさが小さく、肺転移数が少い傾向が認められた。 4.今後の計画 移植脾を免疫組織学的に染色しT細胞の分布を調べる予定で、現在脾を凍結保存中である。また3.の癌に対する影響については、より多くの頭数で、他の薬剤の使用も試みる予定である。灌流・移植した脾のNK活性も検討する。
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