研究概要 |
1.当教室で樹立した自然肺転移ラット胃癌をマウスに免疫し、その脾細胞を採取する計画について。自然肺転移系のラットの肺転移巣をとりだし、マウスの腹腔内に投与することにより免疫マウスを作製し、その脾細胞をとりだした。これは容易に施行された。2.マウス脾細胞とマウスミエローマ(UI細胞)をPEGを用いて融合させる計画について。作製された融合細胞を限界希釈法でクローニングし、多数のモノクローナル抗体が得られた。この過程にも特に問題なく、容易に施行された。3.上記ラット腫瘍に特異的なモノクローナル抗体を2.より分離抽出する計画について。自然肺転移系ラットの肺転移巣標本に対し2.で得られたモノクローナル抗体を1次抗体とし、これにペルオキシダーゼ結合の抗マウス抗体を2次抗体として作用させ、ABC法により腫瘍に反応を示すモノクローナル抗体を選択した。この過程で得られるモノクローナル抗体の数は少なく、現在迄に3種のモノクローナル抗体が得られた。4.3.で選択されたモノクローナル抗体の腫瘍特異性を確かめる計画について。3.で選択された3種のモノクローナル抗体を用いて上記ラットの胃粘膜,腸粘膜,肺,肝等の正常組織を酵素抗体法で染色してみたところ、そのいずれとも反応をおこしたため、この3種のモノクローナル抗体には腫瘍特異性がないと判断された。従って、現在、自然肺転移系ラットの肺転移巣に対して特異的なモノクローナル抗体は得られておらず、くりかえし細胞融合を施行し、特異的なモノクローナル抗体を分離抽出すべく多数の検体を検索中である。
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