研究概要 |
1)細胞融合により得られたモノクローナル抗体の免疫学的分析を行ない, 制癌剤のキャリアーとして最も適当な抗体を選択する計画について, 前年度にひき続き, ABC法により腫瘍に反応を示すモノクローナル抗体を更に3種(前年度も3種)得た. 選択されたモノクローナル抗体を用いてWBN/KOBラットの胃粘膜・腸粘膜・肺・肝等の正常組織を酵素抗体法で染色したところ, そのいづれとも反応をおこしたため, 前年度とあわせて6種の抗体には腫瘍特異性はないと判断された. したがって現在も細胞融合をくりかえしつつ, 特異的なモノクローナル抗体を分離抽出すべく, 多数の検体を検索中である. 2)抗体と制癌剤(マイトマイシン, ネオカルチノスタチン)を結合させる計画について. 得られた6種の抗体には明らかな腫瘍特異性は認められなかったが, 性癌剤との結合は容易に施行された. 3)2)で得られた結合体をモデルラットに投与し, 肺転移率の抑制を計り, 検討する計画について. 得られた結合体を, 背部皮下に肺転移巣を細切し, 移植した担癌ラット尾静脈より注入し, 結合体を投与しなかった担癌ラットと肺転移単数を比較したところ, 前者には明らかな転移抑制傾向は認められず, アイリトープ標識した結合体を用いて臓器内の分布を調べても, 肺転移巣以外の正常肺実質, 背部の腫瘍移植部, 胃腸粘膜, 肝などにも一様に分布した. さらに特異的なモノクローナル抗体の抽出を目的として研究の発展が望まれる.
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