研究概要 |
1.糞便中の胆汁酸組成の変動 加齢により,糞便中に二次胆汁酸分画が増加する傾向が見られた。従って,症例の年齢により,胆汁酸分画にも変動があると考えなければならないと判明した。終末回腸を通過する,しないでの変動では,大腸がなくても,終末回腸を腸内容が通過することにより,胆汁酸の排泄は正常の状態に近付き,従って,終末回腸が胆汁酸代謝に重要な役割を担っていることが判明した。 2.経口的胆汁酸負荷による変動 遊離型胆汁酸は全腸管で吸収されると言われており,ウルソデオキシコール酸(UDCA)は負荷後30分にてピークが認められ,上部小腸に良く吸収されることが判明した。従って,これまで終末回腸の吸収能を調べるためにUDCAが用いられていたとこがあるが,これは疑問である。 抱合型胆汁酸は終末回腸で特異的に吸収されるとされており,タウロコール酸(TCA)およびグリココール酸(GCA)を負荷した。負荷した物質が終末回腸に到達するのに,3時間前後を要するか,TCAが3時間にて若干の上昇を示したのみで,今後の検討を要すると思われた。 3.終末回腸への胆汁酸負荷による変動 UDCAが最も良く吸収されたが,TCA・GCAも上昇を示した。TCA・GCAは上部消化管よりも終末回腸にて良く吸収されることが判明したが,UDCAほどの反応ではなく,一概に抱合型胆汁酸が終末回腸で良く吸収されるとは言えないのではないかと考えられた。 今後は,どの様な胆汁酸がどの程度終末回腸にて吸収されるかを測定し,胆汁酸全般に関する吸収のされかたを検討することが必要となってくるであろう。
|